行政書士法の再編 — 「目的」の看板が「使命」に掛け替えられました
2026年1月1日、行政書士法1条の見出しが「目的」から「行政書士の使命」に変わりました。令和8年度試験の法令基準日(2026年4月1日)の3か月前の施行です。
2026年施行の改正で、行政書士法の1条まわりはどう変わり、業務の条文はどこへ移ったのでしょうか。
主語が「法律」から「行政書士」に移りました
旧1条「この法律は……を目的とする」(法律側の看板)が、新1条「行政書士は……を使命とする」(職業人側の看板)に掛け替わりました。行政手続の円滑な実施に寄与し、国民の利便に資し、国民の権利利益の実現に資すること——これがあなたの使命です。
1条の2「職責」が新設されました。内容は2つ。①常に品位を保持し、法令・実務に精通して、公正かつ誠実に業務を行う。②デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用などで国民の利便向上・業務改善に努める(努力義務・旧法になかった新設内容)。
業務の条文は「1つ繰り下げ」の規則で動いています
新設の1条の2の分、以降は1つずつ繰り下がりました。旧1条の2「業務」→新1条の3。旧1条の3「代理等の業務」→新1条の4。旧1条の4「使用人等」→新1条の5。
1条の3(基本業務)=他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務・事実証明に関する書類を作成すること。1条の4(そのほかの業務)=聴聞・弁明の機会の付与手続などの代理、行政庁への不服申立ての代理とその書類作成(特定行政書士に限る)、契約書等の代理作成、書類作成についての相談です。
旧21条は「虚偽登録」(21条)と「無資格業務(19条1項違反)」(新設21条の2)に分割されました。法定刑は変わっていません。
古い教材と過去問は、旧番号のまま眠っています
最大の罠は過去問と古い教材の条文番号が旧番号のままであること。「行政書士の業務は1条の2に規定される」——改正前は正しくても、基準日2026年4月1日時点では誤りです(正しくは1条の3)。番号だけの暗記は静かに裏切られます。
もう1つ、「1条は行政書士法の目的を定める」という選択肢は、旧法の記憶なら正しく見えても、現1条の見出しは使命です。見出し1語の違いで切れる肢は、施行直後の年に特に並びやすくなります。
「先生のお仕事って、何ができるんですか」。開業の挨拶回りで必ず聞かれるこの問いへの答えが1条の3と1条の4です。職責2項のデジタル努力義務により、オンライン申請対応の整備はもう「あると望ましいスキル」ではなく条文の要請です。
1条は「目的」から「使命」へ(主語が行政書士に)、1条の2に「職責」が新設され、業務条文は1つずつ繰り下げ(旧1条の2→新1条の3、旧1条の3→新1条の4)。次のユニットは、その行政書士に「なる」ための入口(資格・欠格・登録)を数字ごと固めます。