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基礎知識等 / 諸法令諸法
諸法令 1/5 / 約5分

行政書士法の再編 — 「目的」の看板が「使命」に掛け替えられました

2026年1月1日、行政書士法が変わりました。第1条の見出しが「目的」から「行政書士の使命」に書き換えられたのです。令和8年度試験の法令基準日(2026年4月1日)のちょうど3か月前の施行——出題する側から見れば、これほど据わりのよい新論点はありません。

そしてこの条文は、他人事ではありません。合格したあなた自身の職業の看板です。変わった場所は5つ、番号のズレ方には規則があります。

この5分の問い

2026年施行の改正で、行政書士法の冒頭(1条まわり)はどう変わり、業務の条文はどこへ動いたのでしょうか。

直感でつかむ

主語が「法律」から「行政書士」に移りました

旧1条は「この法律は……を目的とする」という、法律側の看板でした。新1条は「行政書士は……を使命とする」——職業人側の看板への掛け替えです。行政手続の円滑な実施に寄与し、国民の利便に資し、国民の権利利益の実現に資すること。これがあなたの使命として明文化されました。

さらに1条の2「職責」が新設されました。中身は2つ。①常に品位を保持し、法令・実務に精通して、公正かつ誠実に業務を行う。②デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用などで国民の利便向上・業務改善に努める(努力義務)。②は旧法にはまったくなかった、時代を映す新顔です。

改正の合言葉1条は使命(主語は行政書士)、1条の2に職責が新設。以降の条文は1つずつ繰り下げ
厳密に見る

業務の条文は「1つ繰り下げ」の規則で動いています

新設の1条の2が割り込んだ分、以降は玉突きで動きました。対応表はこうです。旧1条の2「業務」→新1条の3。旧1条の3「代理等の業務」→新1条の4。旧1条の4「使用人等」→新1条の5

業務の中身を新番号で確認します。1条の3(基本業務)=他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務・事実証明に関する書類を作成すること。1条の4(そのほかの業務)=聴聞・弁明の機会の付与手続などの代理、行政庁への不服申立ての代理とその書類作成(特定行政書士に限る)、契約書等の代理作成、書類作成についての相談です。

罰則にも小さな再編があります。旧21条が「虚偽登録」(21条)と「無資格業務(19条1項違反)」(新設21条の2)に分割されました。法定刑は変わっていません。

結論が反転する分かれ目
旧(〜2025)
目的
「この法律は……を目的とする」。法律側の看板
新(2026-01-01〜)
使命
「行政書士は……を使命とする」。職業人側の看板
分かれ目 主語が法律から人へ。令和8年度の基準日(2026-04-01)時点では改正後の条文で答えます。
ここで間違える

古い教材と過去問は、旧番号のまま眠っています

この改正の最大の罠は、過去問と古い教材の条文番号がすべて旧番号であることです。「行政書士の業務は1条の2に規定される」——改正前なら正しかったこの文は、基準日2026年4月1日時点では誤りです(正しくは1条の3)。番号だけで暗記していた知識ほど、静かに裏切られます。

もう1つ、「1条は行政書士法の目的を定める」という選択肢。旧法の記憶のままだと正しく見えますが、現1条の見出しは使命です。見出し1語の違いで切れる肢が、施行直後の年には特に並びやすいと考えて備えます。

実務では

「先生のお仕事って、何ができるんですか」。開業の挨拶回りで必ず聞かれるこの質問への答えが、1条の3と1条の4です。そして職責2項のデジタル努力義務は、オンライン申請対応が「あると望ましいスキル」から法律上の努力義務に格上げされたことを意味します。開業準備でIT環境を整えることは、いまや条文の要請です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。1条は「目的」から「使命」へ(主語が行政書士に)、1条の2に「職責」が新設され、業務条文は1つずつ繰り下げ(旧1条の2→新1条の3、旧1条の3→新1条の4)。次のユニットでは、その行政書士に「なる」ための入口——資格・欠格・登録——を数字ごと固めます。