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基礎知識等 / 諸法令諸法
諸法令 3/5 / 約5分

義務と懲戒 — 守秘は辞めても続き、法人を懲戒するのは知事です

行政書士を廃業した元行政書士が、かつての依頼者の秘密を漏らしたとします。「もう行政書士ではないのだから、守秘義務もない」——この理屈は通りません。守秘義務は行政書士でなくなった後も続きます

義務の条文は、合格後のあなたの毎日を縛る実定法です。数字は2つ(帳簿2年・罰金100万)、ひっかけの主役は「誰が懲戒するか」です。

この5分の問い

行政書士の主な義務(守秘・帳簿・掲示)はどう定められ、違反や懲戒はどんな仕組みで働くのでしょうか。

直感でつかむ

守秘は「辞めても効く約束」、帳簿と掲示は「事務所の見える化」です

義務の三本柱を性格で分けます。守秘義務(12条)は依頼者との約束で、行政書士でなくなった後も効き続けます。依頼者の秘密は資格証ではなく、職業人生そのものに貼り付いているからです。

帳簿の備付け(9条)報酬額の掲示(10条の2)は、事務所の見える化です。帳簿には事件の名称・年月日・報酬額・依頼者の住所氏名などを記載して2年間保存。報酬額は事務所の見やすい場所に掲示します。「何をいくらでやったか」を記録し、「いくらでやるか」を開示する——依頼者保護の裏表です。

義務の合言葉守秘は退職後も・帳簿は2年保存・報酬額は掲示
厳密に見る

罰則は親告罪の有無、懲戒は「知事」が急所です

罰則を整理します。守秘義務違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金で、親告罪——告訴がなければ公訴を提起できません(秘密の主である依頼者の意思を尊重する設計です)。無資格者の業務(19条違反)も1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(改正で新設された21条の2)。帳簿義務違反などは100万円以下の罰金です。

懲戒(14条)は戒告・2年以内の業務停止・業務の禁止の3段階。そして急所はここです——行政書士および行政書士法人を懲戒するのは都道府県知事(14条の2)。登録が日行連であることとの取り違えを、令和7年度問題53は「法人の懲戒権者=総務大臣」という誤り肢で突いてきました。

行政書士法人(13条の3以下)は、名称中に「行政書士法人」の文字を使い、社員は行政書士に限られます。

結論が反転する分かれ目
登録
日本行政書士会連合会
名簿への登録・拒否には資格審査会の議決
懲戒
都道府県知事
戒告・2年以内の業務停止・業務禁止。法人も知事
分かれ目 「入れる手続」と「罰する手続」で主体が違います。総務大臣はどちらにも登場しません。
ここで間違える

「登録は日行連・懲戒は知事」——主体の取り違えが最頻出です

この分野の誤り肢は、主体のすり替えに集中します。登録=日本行政書士会連合会、懲戒=都道府県知事、そして懲戒に総務大臣は登場しません。令和7年度が法人の懲戒権者で切ってきたのは、この混線を狙ったものです。

もう1つは守秘義務の射程です。「廃業すれば守秘義務は消滅する」「違反は告訴がなくても起訴できる」——どちらも誤り。退職後も継続・親告罪の2点をセットで固定してください。

実務では

「先生、これ誰にも言わないでくださいね」。依頼者のこの一言に、条文上の裏付けを持って「守秘義務がありますから」と答えられるのが専門職です。帳簿2年保存と報酬掲示は開業初日に整えるチェックリストの先頭項目でもあります。義務の条文は、試験の得点源であると同時に、開業後のあなたを守る盾です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。守秘は退職後も続き(違反は親告罪)、帳簿は2年保存、報酬額は掲示、懲戒するのは都道府県知事(戒告・業務停止・業務禁止)。行政書士法はここまでの3ユニットで骨格が閉じました。次は隣の法律へ——戸籍法の届出期間、「おめでとうは二週間、お悔やみは一週間」です。