shikakuホームへ
基礎知識等 / 政治・経済・社会政治
政治・経済・社会 2/3 / 約5分

財政と社会保障 — 年金は2階建て、介護保険は40歳で仲間入りします

毎月の給与明細を見ると、「厚生年金保険料」「健康保険料」という項目が天引きされています。ところが、40歳になった月から新たに「介護保険料」という項目が増えたことに気づいた人もいるはずです。年金・医療・介護、それぞれの保険はいつから加入し、どんな仕組みで支えられているのでしょうか。

この5分の問い

日本の年金・医療・介護の社会保険は、それぞれ誰が加入し、どんな仕組みで支えられているのでしょうか。

直感でつかむ

年金は2階建て、介護保険は40歳で仲間入りします

年金制度は2階建ての建物にたとえられます。1階部分は国民年金(基礎年金)——日本に住む20歳から60歳までの人は原則として全員が加入します。2階部分は厚生年金——会社員や公務員等が、基礎年金に上乗せして加入します。介護保険は40歳になると自動的に「第2号被保険者」として加入し、65歳以上になると「第1号被保険者」に切り替わります。年齢によって加入区分が変わる点が、この制度の急所です。

年金の2階建て1階=国民年金(20〜60歳の原則全員)。2階=厚生年金(会社員等が上乗せ)。
厳密に見る

医療保険の3区分と、財政の役割を押さえます

医療保険は加入者の属性によって3つに分かれます。会社員・公務員等は健康保険(被用者保険)、自営業者・無職者等は国民健康保険、75歳以上は後期高齢者医療制度(2008年創設)に加入します。介護保険(2000年施行)の保険者は市町村・特別区で、被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40〜64歳の医療保険加入者全員が該当する第2号被保険者に区分されます(第2号被保険者が給付を受けられるのは、特定疾病を原因として要介護・要支援状態になった場合に限られます)。サービス利用時の自己負担は原則1割ですが、所得に応じて2〜3割になる場合があります(負担割合は制度時点の定めであり、改正で変動します)。

これらの社会保険を支える財政の骨格として、国の予算には当初予算(毎会計年度当初に成立させる予算)・補正予算(経済情勢の変化等に応じた修正)・暫定予算(当初予算成立前の一時的な予算)の3種類があります。財政の機能は、公共財の提供等を担う資源配分、累進課税・社会保障による所得再分配、景気を調整する経済安定化の3つです。2024年度の一般会計歳出総額は約112兆円、国債残高は約1,000兆円超という目安が示されていますが、予算規模は毎年度変動するため、最新の数値は財務省の公式資料で確認する必要があります。

生活保護(生活保護法)は、憲法25条の生存権を根拠とし、国家責任・無差別平等・最低生活・補足性という4つの原理に基づき、生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭の8種類の扶助を行う制度です。

結論が反転する分かれ目
第1号
65歳以上
原則すべての人が対象
第2号
40〜64歳の医療保険加入者全員
サービス利用は特定疾病起因の要介護時に限る
分かれ目 「介護保険=65歳から」という思い込みが、第2号被保険者の存在を見落とさせる。
ここで間違える

「介護保険は65歳からしか関係ない」という思い込みに注意します

第一の手口は介護保険の加入年齢の単純化です。「介護保険の被保険者は65歳以上に限られる」は誤りです。40〜64歳の医療保険加入者は全員が第2号被保険者として加入し保険料を負担します(特定疾病は、介護サービスの給付を受けるための要件であって、加入の要件ではありません)。

第二の手口は国民年金の加入者像の取り違えです。「国民年金は自営業者だけが加入する制度である」は誤りです。国民年金(基礎年金)は20〜60歳の日本在住者が原則全員加入し、会社員等はこれに厚生年金が上乗せされます。

第三の手口は後期高齢者医療制度の対象年齢の誤認です。「後期高齢者医療制度は65歳以上を対象とする」は誤りです。対象は75歳以上です。

実務では

年金・医療・介護保険の給付申請そのものは社会保険労務士の業務範囲に属し、行政書士が直接代理することは基本的にありません。ただし、相続や成年後見の相談を受ける中で、依頼者や被相続人がどの制度に加入しているかを正確に把握しておくことは、社会保険労務士など他の専門家への的確な橋渡しにつながります。生活保護に関する相談でも、4つの原理という制度の建て付けを理解していることが、初期対応の信頼性を支えます。この分野は基礎知識等の中でも骨格の理解で足りる領域であり、細かな数値の暗記に時間をかけすぎないことが大切です(gyosei/kiso/kisochishiki/ashikiri-senryaku)。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

答えです。年金は国民年金(1階)+厚生年金(2階)、介護保険は40歳で第2号、65歳で第1号という加入区分の変化が急所です。数値は年度で変わるため「目安」として押さえ、次は労働法制と環境法の骨格を見ていきます。