財政と社会保障 — 年金は2階建て、介護保険は40歳で仲間入りします
毎月の給与明細には「厚生年金保険料」「健康保険料」が天引きされています。40歳になった月からは「介護保険料」が新たに加わります。年金・医療・介護、それぞれの保険はいつから加入し、どんな仕組みで支えられているのでしょうか。
日本の年金・医療・介護の社会保険は、それぞれ誰が加入し、どんな仕組みで支えられているのでしょうか。
年金は2階建て、介護保険は40歳で仲間入りします
年金制度は2階建てにたとえられます。1階は国民年金(基礎年金)——日本に住む20歳から60歳までの人が原則全員加入します。2階は厚生年金——会社員や公務員等が基礎年金に上乗せして加入します。介護保険は40歳で自動的に「第2号被保険者」となり、65歳以上で「第1号被保険者」に切り替わります。加入区分が年齢で変わる点が急所です。
医療保険の3区分と、財政の役割を押さえます
医療保険は加入者の属性で3つに分かれます。会社員・公務員等は健康保険(被用者保険)、自営業者・無職者等は国民健康保険、75歳以上は後期高齢者医療制度(2008年創設)に加入します。介護保険(2000年施行)の保険者は市町村・特別区で、被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40〜64歳の医療保険加入者全員が該当する第2号被保険者に区分されます(第2号被保険者が給付を受けられるのは、特定疾病を原因として要介護・要支援状態になった場合に限られます)。自己負担は原則1割、所得に応じ2〜3割です(負担割合は制度時点の定めであり、改正で変動します)。
社会保険を支える財政には当初予算(毎会計年度当初に成立させる予算)・補正予算(経済情勢の変化等に応じた修正)・暫定予算(当初予算成立前の一時的な予算)の3種類があります。財政の機能は、公共財の提供等を担う資源配分、累進課税・社会保障による所得再分配、景気を調整する経済安定化の3つです。2024年度の一般会計歳出総額は約112兆円、国債残高は約1,000兆円超が目安ですが、予算規模は毎年度変動するため、最新の数値は財務省の公式資料で確認してください。
生活保護(生活保護法)は、憲法25条の生存権を根拠に、国家責任・無差別平等・最低生活・補足性という4原理に基づき、生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭の8種類の扶助を行います。
「介護保険は65歳からしか関係ない」という思い込みに注意します
第一に、加入年齢の単純化——「介護保険の被保険者は65歳以上に限られる」は誤りです。40〜64歳の医療保険加入者は全員が第2号被保険者として加入し保険料を負担します(特定疾病は、介護サービスの給付を受けるための要件であって、加入の要件ではありません)。
第二に、加入者像の取り違え。「国民年金は自営業者だけが加入する制度である」は誤りで、国民年金(基礎年金)は20〜60歳の日本在住者が原則全員加入し、会社員等はこれに厚生年金が上乗せされます。
第三に、対象年齢の誤認。「後期高齢者医療制度は65歳以上を対象とする」は誤りで、対象は75歳以上です。
年金・医療・介護保険の給付申請そのものは社会保険労務士の業務範囲に属し、行政書士は基本的に代理しません。ただし、相続や成年後見の相談を受ける中で、依頼者や被相続人の加入制度を正確に把握しておけば、社会保険労務士など他の専門家への橋渡しが的確になります。生活保護の相談でも、4原理という制度の建て付けの理解が初期対応の信頼性を支えます。この分野は骨格の理解で足り、細かな数値の暗記に時間をかけすぎないことが大切です(gyosei/kiso/kisochishiki/ashikiri-senryaku)。
年金は国民年金(1階)+厚生年金(2階)、介護保険は40歳で第2号、65歳で第1号という加入区分の変化が急所です。数値は年度で変わるため「目安」として押さえてください。次は労働法制と環境法の骨格を見ます。