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基礎知識等 / 政治・経済・社会政治
政治・経済・社会 1/3 / 約5分

選挙制度 — 衆議院と参議院は、名簿の作り方から違います

衆議院選挙の投票所では、小選挙区用と比例代表用の2枚の投票用紙を渡されます。ところが参議院選挙では、比例代表の投票用紙に候補者個人の名前を書いても、政党名を書いても、どちらも有効票になります。同じ「比例代表」という名前なのに、衆議院と参議院で書き方のルールが違うのはなぜでしょうか。

この5分の問い

衆議院と参議院の選挙制度は、比例代表の名簿の作り方を中心に、何がどう違うのでしょうか。

直感でつかむ

衆議院は「順位が決まった名簿」、参議院は「個人名も有効な名簿」です

衆議院の比例代表は拘束名簿式——政党があらかじめ当選する順位を決めた名簿を提出し、有権者は政党名だけを書いて投票します。順位は固定されているため、有権者は名簿内の個人を選べません。一方、参議院の比例代表は非拘束名簿式——名簿に順位はなく、有権者は候補者の個人名でも政党名でも投票でき、個人名の得票数が多い候補から当選します。

名簿方式の軸衆議院の比例代表=拘束名簿式(順位固定・政党名のみ)。参議院の比例代表=非拘束名簿式(個人名・政党名どちらも有効)。
厳密に見る

選出方法・任期・改選のしくみを制度ごとに押さえます

衆議院議員は小選挙区比例代表並立制で選ばれます。小選挙区は1選挙区から最多得票者1名を選出する方式で289議席、比例代表は全国を11ブロックに分けた拘束名簿式で176議席です(議席数は制度時点の定めであり、改正で変動します)。任期は4年ですが、衆議院には解散があり、任期満了前に選挙が行われることがあります。

参議院議員は、都道府県単位の選挙区(148議席)と、全国単位の比例代表(非拘束名簿式・100議席)で選ばれ、いずれも3年ごとに半数が改選されます(議席数は制度時点の定めであり、改正で変動します)。任期は6年で、衆議院と異なり解散はありません

選挙の基本原則は、普通選挙(財産・性別等による制限なし)・平等選挙(一人一票)・直接選挙(有権者が直接選ぶ)・秘密選挙(無記名投票)・自由選挙(棄権の自由)の5つです。選挙権は18歳以上(2016年の法改正で20歳から引き下げ)、被選挙権は衆議院議員・市区町村長が25歳以上、参議院議員・都道府県知事が30歳以上です(被選挙権年齢は制度時点の定めであり、改正で変動します)。

結論が反転する分かれ目
衆議院
拘束名簿式
政党が順位を決めた名簿・政党名のみで投票
参議院
非拘束名簿式
順位なし・個人名でも政党名でも投票可
分かれ目 「衆院拘束・参院非拘束」を取り違えないことが最頻出の分かれ目。
ここで間違える

「衆院は非拘束、参院は拘束」という取り違えが最頻出です

第一の手口は名簿方式の左右逆転です。「衆議院の比例代表は非拘束名簿式で、有権者は候補者個人名を書いて投票する」は誤りです。衆議院の比例代表は拘束名簿式で、政党名のみを書きます。個人名を書けるのは参議院の比例代表です。

第二の手口は解散の有無の混同です。「参議院にも衆議院と同様に解散がある」は誤りです。解散があるのは衆議院のみで、参議院に解散はありません。

第三の手口は被選挙権年齢の一律化です。「衆議院と参議院の被選挙権年齢はどちらも25歳以上である」は誤りです。参議院議員・都道府県知事の被選挙権は30歳以上です。

実務では

行政書士が候補者の選挙運動そのものを代理する場面はありませんが、政治団体の設立に関する届出書類の作成など、政治資金規正法関連の書類作成で選挙・政治活動と接点を持つことがあります。制度の骨格(どの選挙がどの方式で行われるか)を正確に理解していることは、こうした周辺業務の前提知識として役立ちます。基礎知識等は独立の基準点を持つ足切り科目であり、本ユニットも深追いせず骨格だけを取る戦略(gyosei/kiso/kisochishiki/ashikiri-senryaku)の一部です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

答えです。衆議院の比例代表は拘束名簿式(政党名のみ・順位固定)、参議院の比例代表は非拘束名簿式(個人名も有効)です。解散があるのも衆議院だけです。次は、この統治のしくみを支える財政と社会保障の骨格を見ていきます。