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行政法 / 行政手続法行政
行政手続法 1/5 / 約5分

申請に対する処分 — 合格ラインは、先に貼り出しておく決まりです

申請書を出したのに、何の音沙汰もないまま数週間。窓口に問い合わせると「審査中です」とだけ返ってくる。何を見て審査しているのか、いつまで待てばよいのかは分かりません。1993年(平成5年)に行政手続法ができるまで、こうした場面に行政全般で共通するルールはありませんでした。

いまはあります。見る条文は4つ(5〜8条)で、義務と努力義務の割り振りが、そのまま出題ポイントです。

この5分の問い

申請を受けた行政庁は、何を示し、何をしなければならないのでしょうか。

直感でつかむ

合格ラインは貼り出し、所要時間は目安を示します

求人票を思い浮かべてください。応募資格が求人票に書かれていなければ、応募者は準備のしようがありません。申請の合否を分ける基準(審査基準)も同じで、申請する側が事前に見られること自体に意味があります。だから、作るのも貼り出すのも義務です。

申請側の軸審査基準=設定も公表も義務。標準処理期間=設定は努力、決めたら公表は義務。

審査にかかる時間のほうは、通販の「お届け目安◯日」に似ています。確約はできないから、目安を定めるのは努力義務です。ただし、目安を決めたのに隠しておくことは許されません。

厳密に見る

5条から8条まで、申請の一生を順にたどれます

条文は、申請が出される前から結論が出るまでを時系列で並べています。まず入口の基準です。

行政庁は、審査基準を定めるものとする。(行政手続法5条1項)…行政上特別の支障があるときを除き、…審査基準を公にしておかなければならない。(同3項)

「定めるものとする」は義務の言い回しです。基準はできる限り具体的にし(2項)、窓口での備付けなどの方法で公にします。次に時間です。標準処理期間は「定めるよう努める」(6条)ですが、条文は続けて、定めたときは公にしておかなければならない、と義務で締めています。

申請が事務所に到達したときは、行政庁は遅滞なく審査を開始しなければなりません(7条)。形式上の要件を満たさない申請には、相当の期間を定めて補正を求めるか、拒否するかのどちらかです。受け取ったまま放置する、という選択肢は条文にありません。

そして出口です。申請を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に理由を示さなければなりません(8条1項)。処分を書面でするときは、理由も書面で示します(同2項)。

結論が反転する分かれ目
義務
審査基準(5条)
申請者が見て準備するための基準。設定・公表とも義務
努力義務
処分基準(12条)
不利益処分の内部基準。設定・公表とも努力義務
分かれ目 国民が事前に見るべき基準は義務、行政の手の内は努力義務。
ここで間違える

「審査基準は努力義務」の肢は、処分基準とのすり替えです

この分野の定番手口は、義務と努力義務の入れ替えです。「審査基準の設定は努力義務である」は誤りで、設定も公表も義務です(5条)。努力義務なのは、次のユニットで見る処分基準(12条)のほうです。この2つを入れ替える肢が繰り返し出ています。

標準処理期間は二段構えに注意してください。「定めることも公にすることも努力義務」は誤りです。設定は努力義務ですが、定めたときの公表は義務です(6条)。

もう1つ、「形式に不備のある申請は受理を拒否できる」という肢も誤りです。行政手続法に「受理」という関門はありません。到達すれば審査開始義務が生じ、不備には補正要求か拒否で応答します(7条)。

実務では

「先生、いつごろ許可が下りますか」という質問には、勘で答えません。まず審査基準と標準処理期間を確認します。どちらも公にされているものなので、依頼者との最初の面談で根拠を示して見通しを伝えられます。審査基準を読み込んで、その基準に沿う形で申請書類を組み立てる。これが許認可申請を代理する行政書士の日常の中心です。

確かめる — 予想してから答え合わせ
この5分のまとめ

冒頭の問いに答えます。行政庁は審査基準を作って公にし、到達した申請を遅滞なく審査し、拒否するなら同時に理由を示す義務を負います。次のユニットでは、逆に行政庁が不利益を課す側に回ったときの手続を見ます。