申請に対する処分 — 合格ラインは、先に貼り出しておく決まりです
申請書を出したのに、何の音沙汰もないまま数週間。窓口に聞いても「審査中です」としか返りません。何を見て、いつまで待てばよいのかは分かりません。1993年(平成5年)に行政手続法ができるまで、行政全般に共通するルールはありませんでした。
いまはあります。見る条文は4つ(5〜8条)、義務と努力義務の割り振りがそのまま出題ポイントです。
申請を受けた行政庁は、何を示し、何をしなければならないのでしょうか。
合格ラインは貼り出し、所要時間は目安を示します
求人票に応募資格が書かれていなければ、応募者は準備できません。申請の合否を分ける基準(審査基準)も同じで、事前に見られること自体に意味があります。だから、作るのも貼り出すのも義務です。
審査の時間は、通販の「お届け目安◯日」に似ています。確約はできないから、目安を定めるのは努力義務。ただし決めた目安を隠すことは許されません。
5条から8条まで、申請の一生を順にたどれます
条文は、申請から結論までを時系列で並べています。まず入口の基準です。
行政庁は、審査基準を定めるものとする。(行政手続法5条1項)…行政上特別の支障があるときを除き、…審査基準を公にしておかなければならない。(同3項)
「定めるものとする」は義務の言い回しです。基準はできる限り具体的にし(2項)、窓口での備付け等で公にします。次に時間です。標準処理期間は「定めるよう努める」(6条)ものの、条文は続けて、定めたときは公にしておかなければならないと義務で締めています。
申請が事務所に到達したときは、行政庁は遅滞なく審査を開始しなければなりません(7条)。形式上の要件を満たさない申請には、相当の期間を定めて補正を求めるか拒否するかのどちらかで、受け取ったまま放置する選択肢は条文にありません。
出口——申請を拒否する処分をする場合は、申請者に同時に理由を示さなければならず(8条1項)、書面でする処分なら理由も書面で示します(同2項)。
「審査基準は努力義務」の肢は、処分基準とのすり替えです
この分野の定番手口は、義務と努力義務の入れ替えです。「審査基準の設定は努力義務である」は誤りで、設定も公表も義務(5条)。努力義務なのは、次のユニットで見る処分基準(12条)の方で、この2つを入れ替える肢が繰り返し出ます。
標準処理期間は二段構えです。「定めることも公にすることも努力義務」は誤りで、設定は努力義務でも定めたときの公表は義務(6条)。
もう1つ、「形式に不備のある申請は受理を拒否できる」という肢も誤り。行政手続法に「受理」という関門はなく、到達すれば審査開始義務が生じ、不備には補正要求か拒否で応答します(7条)。
「先生、いつごろ許可が下りますか」に、勘では答えません。審査基準と標準処理期間はどちらも公にされているので、根拠を示して見通しを伝えられます。審査基準を読み込み、その基準に沿って申請書類を組み立てる——これが許認可申請を代理する行政書士の日常です。
行政庁は審査基準を作って公にし、到達した申請を遅滞なく審査し、拒否するなら同時に理由を示す義務を負います。次のユニットでは、逆に行政庁が不利益を課す側に回ったときの手続を見ます。