意見公募と適用範囲 — 30日集めて、採用は約束しない
新しいルール(政令や省令など)の案について、役所が意見を募集している。ニュースサイトの片隅で見かける「パブリックコメント」です。あの仕組みは行政手続法が定めていて、募集期間には最低ラインの数字があります。そして意外なことに、この法律自体が「自分の届かない場所」を条文で明記しています。
意見公募は何日以上で、この法律はどこまでをカバーしているのでしょうか。
意見は30日集める、採用は約束しない
アンケートにたとえると、この制度の輪郭がつかめます。実施は義務で、期間は公示の日から起算して30日以上。ただし、集めた意見をすべて採用する義務はなく、求められるのは「十分に考慮する」ことまでです。
あわせて、この法律の「届く範囲」を2つ確認します。1つは届出(提出BOXに入った時点で完了)、もう1つは地方公共団体との関係です。
39条が数字を、3条3項と46条が境界線を定めています
意見公募の対象は「命令等」、つまり政令・省令や審査基準・処分基準・行政指導指針です(2条8号)。定めようとする機関は案を公示し、広く意見を求めなければなりません。
…意見提出期間は、…公示の日から起算して三十日以上でなければならない。(行政手続法39条3項)
提出された意見は「十分に考慮しなければならない」(42条)であって、反映義務ではありません。緊急の場合などの適用除外もあります(39条4項)。
届出は37条の一条だけです。形式上の要件に適合した届出は、提出先の事務所に到達したときに手続上の義務が履行されたことになります。窓口が「受理しない」と言って止めることはできません。
最後に境界線です。地方公共団体の機関については、条例・規則に根拠を置く処分、行政指導のすべて、条例・規則に基づく届出、そして命令等の制定に、この法律の該当章は適用されません(3条3項)。代わりに、各自治体は法律の趣旨にのっとった必要な措置を講ずる努力義務を負い(46条)、実際には行政手続条例がその受け皿になっています。
「地方公共団体には適用されない」も「全部適用される」も誤りです
適用範囲の手口は両方向から来ます。「地方公共団体の機関がする処分には、行政手続法は一切適用されない」は誤りです。法律に基づく処分には適用されます。除外されるのは条例・規則に根拠を置く処分です。逆に「地方公共団体の行政指導にも行政手続法が適用される」も誤りです。行政指導は根拠を問わず全部が適用除外で、各自治体の条例に委ねられています(3条3項・46条)。
数字の手口は単純です。「意見提出期間は2週間以上」「原則20日以上」はいずれも誤りで、公示の日から起算して30日以上です(39条3項)。
届出では「受理」の語に反応してください。「行政庁が受理した時点で届出の効力が生じる」は誤りで、形式が整っていれば到達した時点で義務履行です(37条)。
「市役所相手の申請なんですが、行政手続法を見ればいいですか」という場面で、この境界線が効きます。根拠が条例なら、開くべきはその市の行政手続条例です。国の法律に基づく許認可なら行政手続法です。どちらの土俵かを最初に見極めるのは、依頼を受けた行政書士の初動そのものです。意見公募は、業界に関わる基準改正の動きを依頼者より先に掴む情報源にもなります。
答えです。意見公募は公示の日から起算して30日以上、そして行政手続法は条例に根拠を置く処分と地方公共団体の行政指導には届かず、そこは各自治体の条例が受け持ちます。これで行政手続法の5ユニットは一巡です。ドリルで義務・努力義務の反射を作ってから、行政不服審査法へ進んでください。