訓練・期間の時計 — 「日」と「月」の錨を本番の速度で
期間の数字は、行政法でいちばん干渉が起きやすいゾーンです。3か月・6か月・1か月・1年・60日・30日・20日・10日——似た数字が10個近く並ぶうえ、どれも単体では意味を持ちません。ここは方法論ユニットで作った錨を、本番の速度で振る訓練場です。
期間の錨は、時間制限のある本番でも正しく機能するでしょうか。
錨は三本で全部の数字を釣り上げます
訓練の前に、錨を確認します。第一の錨は「簡易な手続ほど短い」——審査請求3か月、裁判6か月。第二の錨は「二段目の時計は絞られる」——一度目の判断が出た後(再審査請求・再調査の決定後の審査請求)は1か月。第三の錨は「客観は1年・救済は正当な理由」、ただし住民訴訟の30日だけが救済なしの不変期間、という例外です。
「日」単位の数字は、場面の絵で持ちます
月単位の数字が救済の締切なのに対し、日単位の数字は手続の中の持ち時間です。混ぜないことが第一歩です。
不信任を突きつけられた長の持ち時間が10日(自治法178条1項)。条例の直接請求を受理した長が議会を招集するまでが20日(74条3項)。住民監査請求を受けた監査委員の監査・勧告が60日(242条)。その監査に不服の住民が裁判所へ行けるのが30日(242条の2・不変期間)。意見公募の意見提出期間が30日以上(行手法39条3項)。それぞれ「誰の持ち時間か」の絵と一緒に持てば、月の時計と混ざりません。
起算の言い回しも仕上げておきます。行審法は「知った日の翌日から起算して」、行訴法は「知った日から」。審査請求を経た出訴は起点が裁決に付け替わります(行訴法14条3項)。
数字単体の暗記に戻った瞬間、干渉が再発します
ドリルを回すうち、「3か月=審査請求」のような直結暗記が再びできてきます。それ自体は速くてよいのですが、直結が切れたときの復旧手段が錨です。ドリルで間違えたら、正解を見る前に錨から再構築する一拍を挟んでください。その一拍が本番での保険になります。
期限は実務でも「数字単体」では扱いません。事務所のカレンダーに入るのは「◯◯さんの審査請求期限」という事件に紐づいた日付です。数字を場面の絵で持つこの訓練は、そのまま期限管理の実務感覚です。
錨は三本——簡易ほど短い・二段目は絞られる・客観1年と正当な理由(例外は30日)。以下のドリルを、錨を意識しながら2周してください。1周目は正確さ、2周目は速さです。