バリューチェーン — 儲けはどの工程で生まれているかを、地図にします
ハンドメイドアクセサリーをメルカリで売る作家の一日を分解してみます。材料を仕入れ、作り、梱包して発送し、写真を撮って出品し、購入者とやり取りする——これが商売の本流。その裏で、確定申告をし、技術を磨き、道具や材料の買い先を選んでいる——これが本流を支える仕事です。
会社の活動をこうして分解し、「価値はどの工程で生まれているか」を地図にするのがバリューチェーン分析です。試験は主活動と支援活動の分類で突いてきます。
バリューチェーンは企業の活動をどう分類し、その地図は何のために描くのでしょうか。
価値の本流5つと、本流を支える4つに分けます
ポーターのバリューチェーンは、企業の活動を主活動5つと支援活動4つに分けます。主活動は価値がモノと一緒に流れる本流——購買物流(材料の受入・保管)→製造→出荷物流→マーケティング・販売→サービス(アフターケア)。
支援活動は本流の全区間を裏から支える4つ——全般管理・人的資源管理・技術開発・調達活動。売値から全活動のコストを引いた残りがマージン(利益)で、「どの工程がマージンの源泉か」を見極めるのがこの分析の目的です。
「調達」は支援活動——物流との線引きが最大の試験ポイントです
最も混同しやすいのが調達活動と購買物流です。調達活動は「何をどこからいくらで買うか」を決める購買の仕組みづくりで支援活動。購買物流は買った材料を受け入れ・保管し・生産へ流す現場作業で主活動です。「買う」に関わるのに置き場所が違う——ここが定番の出題点です。
使い方の位置づけも押さえます。5フォースが「業界の外の力学」を診る外部分析なら、バリューチェーンは「自社の中の工程」を診る内部分析。コスト優位も差別化も、突き詰めれば特定の活動から生まれる——だから活動単位に分解して優位の源泉を特定するのです。
「調達活動は主活動である」——分類の入れ替えが定番の誤り肢です
最頻出の誤り肢は分類の入れ替えです。「調達活動は主活動に含まれる」——誤り、支援活動です。逆に「出荷物流は支援活動」も誤り——モノの流れに乗る活動は主活動です。
数の入れ替え(主活動4つ・支援活動5つ、など)にも注意。主5・支援4の枠と、「モノと価値の流れに直接乗るか」という判定基準をセットで持てば、初見の活動名でも分類できます。
「うちは何で食えているんだろうね」。町工場の社長のこのつぶやきに、バリューチェーンは道具として答えます。工程ごとにコストと強みを書き出すと、「実は儲けの源泉は加工技術ではなく、短納期を可能にする段取り(出荷物流)だった」といった発見がよくある——強化投資も外注の切り分けも、この地図の上で判断できます。
冒頭の問いに答えます。バリューチェーンは活動を主活動5つ(購買物流→製造→出荷物流→販売→サービス)と支援活動4つ(全般管理・人事・技術開発・調達)に分解し、マージンの源泉となる活動を特定するための地図です。では、そこで見つけた強みは長続きするのか——判定装置がVRIOです。