STP — 「誰に・どこで・どう覚えてもらうか」を、この順で決めます
カフェを開くとします。まず、来そうな客を学生・会社員・主婦…と分けてみる。次に「平日午後の子連れ主婦」に狙いを絞る。最後に「子連れでゆっくりできるカフェ」として覚えてもらう——この3手順がSTPです。
スターバックスは「サードプレイス」、コメダは「くつろぎ」、ドトールは「安くて速い」。同じカフェ業態が共存できるのは、それぞれ違う場所に旗を立てているから——ポジショニングの実例です。
市場を分け、狙いを絞り、覚えてもらう——STPの各段階では何を判断するのでしょうか。
分ける(S)→絞る(T)→旗を立てる(P)の3手順です
セグメンテーション——市場を同質なかたまりに分けます。切り口は地理的変数(地域・気候)・人口統計学的変数(年齢・性別・所得)・心理的変数(ライフスタイル・価値観)・行動変数(使用頻度・ロイヤルティ)の4分類。
ターゲティング——分けたかたまりのどこを狙うか。全体に同じ手を打つ無差別型、複数セグメントに別々の手を打つ差別型、1つに絞る集中型の3型です。ポジショニング——選んだ相手の頭の中に、競合と区別される位置を築きます(知覚マップで設計)。
「良いセグメント」の5条件まで問われます
分ければよいわけではなく、セグメンテーションには有効性の条件があります——測定可能性(規模や購買力が測れる)・実質性(狙う価値のある大きさ)・到達可能性(そのセグメントに実際に届く)・差別化可能性(セグメント間で反応が異なる)・実行可能性(自社の資源で攻められる)。
ターゲティング3型の使い分けも整理を——経営資源の乏しい中小企業は集中型が定石(ニッチャー戦略と接続)、無差別型は規模の経済を活かせる大企業向きです。
順序の入れ替えと、変数分類の混同が定番です
定番の誤り肢は順序の入れ替え——「ポジショニングを定めた後に、市場を細分化する」など。分けていない市場には絞りようも旗の立てようもない——S→T→Pの論理順で切れます。
変数分類では「年齢・性別は心理的変数」(誤り——人口統計学的変数)、「ライフスタイルは行動変数」(誤り——心理的変数。行動変数は使用頻度・購買状況など実際の行動)が典型です。
「うちは誰にでも売りたい」という社長には、STPは説教ではなく算数として効きます。広告費が限られているとき、全員向けの言葉は誰にも刺さらない——「平日午後の子連れ主婦」まで絞れば、チラシの置き場所も文言も自動的に決まる。診断報告書のマーケティングの章は、事実上STPの3行から始まります。
冒頭の問いに答えます。Sで市場を4変数(地理・人口統計・心理・行動)で分け、Tで無差別・差別・集中から狙い方を選び、Pで顧客の頭の中に競合と区別される旗を立てる——この順序が崩れると後の判断が宙に浮きます。狙いが決まったら、次は打ち手の道具箱——4Pです。