IPアドレス — 43億個の住所は、もう足りません
事務所のプリンタ設定で「192.168.1.10」のような数字を見たことがあるはずです。あれがIPアドレス——ネットワーク上の住所です。
ところがこの住所、世界中で約43億個しかありません。地球の人口より少ない住所を、スマホ・PC・家電が奪い合う——枯渇して当然です。「どうやってしのいでいるか」と「根本解決は何か」の2段構えで押さえます。
IPv4はなぜ枯渇し、プライベートIPとIPv6はそれをどう解決するのでしょうか。
しのぎ方は「家庭内だけの住所」を作ることでした
IPv4は32ビット——2の32乗=約43億個が上限です(「192.168.1.10」のようにドットで4区切り)。そこで考え出されたのがプライベートIPアドレス——組織や家庭の中だけで通用する住所です。内側では自由に使い、インターネットに出るときだけルータがグローバルIPに変換(NAT。1つのグローバルIPを複数端末で共有する方式がNAPT)します。だから隣の会社と自社のプリンタが同じ「192.168.1.10」でも衝突しません。
プライベートIPの3範囲とCIDRの読み方が数字の的です
プライベートIPアドレスは3範囲——10.0.0.0/8・172.16.0.0/12・192.168.0.0/16です。「/」以下はCIDR表記で、先頭から何ビットがネットワーク部かを示します。/24ならネットワーク部24ビット・ホスト部8ビット(サブネットマスク255.255.255.0)——接続できるホストは2の8乗からネットワークアドレスとブロードキャストアドレスの2つを除いた254台です(かつての固定長のクラスA/B/C分類を、可変長にしたのがCIDR)。
根本解決がIPv6——128ビット(16進数をコロンで8区切り)で、アドレス数は事実上無尽蔵。端末にグローバルなアドレスを潤沢に割り当てられるため、NATによる変換は原則不要になります。
ビット数の入れ替えと、プライベートIP範囲の数字ズラしが定番です
定番の誤り肢はビット数の入れ替え——「IPv6は64ビット」(正しくは128ビット)・「IPv4は128ビット」(32ビット)。32→43億、128→無尽蔵、の対で固定してください。
プライベートIP範囲の数字ズラしも的——「192.168.0.0/24」「172.16.0.0/8」のようにプレフィックス長をずらした肢が出ます(正=10が/8・172.16が/12・192.168が/16)。また「プライベートIPはそのままインターネットで通用する」は誤り——外に出るにはNATの変換が必要です。「IPv6でもNATが必須」も誤り——枯渇が解消するので原則不要です。
「社内の新しいPCだけプリンタにつながらない」——顧問先のよくある相談は、プライベートIPのセグメント違い(192.168.1.x と 192.168.2.x)が原因のことがあります。ネットワーク図に「どの機器がどの範囲の住所か」を書き出すだけで、ベンダーに頼む前に切り分けられる——診断士がIT担当のいない会社に置いていける、実用的な一枚です。
冒頭の問いに答えます。IPv4は32ビット・約43億個しかないため枯渇し、内側だけで通用するプライベートIP(10/8・172.16/12・192.168/16)+NAT変換でしのぎ、128ビットのIPv6が根本解決です(/24=ホスト部8ビット・接続254台)。次は、この住所の上に建てる「借り物のインフラ」——クラウドの3モデルへ。