この章は3つの論点ユニット(Wave 8)に生まれ変わりました。短く区切って学べて、ドリル・索引とつながっています。 新しい「親族法・相続法」をはじめる →
この旧版は当面そのまま読めます。
婚姻・親子・相続——人が生まれ、家族をつくり、財産を残す。2018年・2019年・2024年の三連改正が試験を激変させた。配偶者居住権・遺留分の金銭化・嫡出否認の拡大を、改正前後の差分で鋭く押さえる章。
夫が死亡した。妻と子2人が残された。誰が何の割合で相続するのか? 妻は今の家に住み続けられるか? 夫が「財産は全部友人に」と遺言していたら妻は何も受け取れないのか? 遺留分の請求はどうやってする?
行政書士は遺言書作成・相続手続・遺産分割協議書の作成・相続放棄申述の補助といった業務を中核とする国家資格。「誰が相続人か」「法定相続分はいくらか」「遺言が有効かどうか」「遺留分はどれだけ認められるか」は、依頼者から最も頻繁に受ける質問群である。2018年改正(配偶者居住権・遺留分金銭化・特別の寄与)、2024年改正(再婚禁止廃止・嫡出否認拡大)は施行されたばかりであり、旧法知識との混同が試験に頻出する。また、遺言書の方式(自筆証書・公正証書・秘密証書)は行政書士が遺言作成を支援する際に必ず押さえなければならない実務的知識。相続欠格と廃除の区別(自動失権か審判か)も、相続手続の現場で問題になる重要論点である。
民法の第4編・第5編が本章の対象。親族法(725〜881条)は婚姻・親子・親権のルール。相続法(882〜1050条)は死後の財産承継のルール。行政書士試験では相続法が最頻出だが、2018年・2019年・2024年の改正が続き、新旧どちらの知識が問われるか注意が必要。
婚姻・離婚・親子・親権・扶養が対象。婚姻適齢の男女18歳統一は2022年4月1日施行(平成30年法律第59号)、嫡出否認の拡大・再婚禁止期間の廃止は2024年4月1日施行(令和4年法律第102号)——別々の2つの改正法である点に注意。
相続人と相続分・遺言・遺留分・配偶者居住権が対象。2018年改正が最重要。
①再婚禁止期間(733条)が完全廃止。旧法では女性に100日の再婚禁止期間があったが、この改正(2024年4月1日施行)で条文ごと削除された。「現行法では再婚禁止期間は何日か」→ 規定なし(廃止)。
②嫡出否認の権者が父のみ→父・母・子に拡大(774〜778条の3)。否認期間も1年→3年に延長。
男女とも18歳(平成30年法律第59号・2022年4月1日施行で統一。旧法は男18歳・女16歳)。成年年齢の18歳引下げと一体の改正で、再婚禁止期間の廃止(令和4年法律第102号・2024年施行)とは別の法律。
旧733条は女性に再婚禁止期間を定めていたが、令和4年法律第102号(公布2022年12月・施行2024年4月1日)で条文ごと削除。現行法には再婚禁止期間の規定はない。沿革:原始規定=6か月 → 平成28年改正=100日 → 令和4年改正法で廃止(2024年施行)。
「夫婦はどちらかの氏を称する」。この規定の合憲性が2度争われ、最高裁はいずれも合憲と判断。
不貞行為等の「有責配偶者」からの離婚請求は原則認められないが、最大判昭62.9.2は①別居期間の長期 ②未成熟の子なし ③相手方が過酷な状態に置かれないことを満たせば認容可と判示。例外的認容の判例として頻出。
婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定(嫡出推定)。2024年施行の改正後は、婚姻成立の日以後に生まれた子(改正前は「200日後」)、または婚姻解消・取消後300日以内に生まれた子にも嫡出推定が及ぶ。
嫡出推定を覆すには嫡出否認の訴えが必要。令和4年法律第102号(2024年4月1日施行)で大幅刷新:
学習優先度:低〜中|親族法は財産法との融合で問われることが多く、単独の出題頻度は低め(yobi-minpo-resources.md調べ)。要点(承諾・遡及・訴えの期間)だけ押さえ、細部は1分で切り上げる。
母子関係は分娩の事実によって当然に生じるが、婚姻外で生まれた子(非嫡出子)と父との法律上の親子関係は認知によって生じる。
養子となる子の年齢上限を6歳未満 → 15歳未満に緩和(2019年施行)。実親との親族関係を断絶する強力な縁組制度。普通養子縁組との区別が頻出。
実親との親族関係が残る。年齢制限なし(自己より年長は不可)。
実親との親族関係を断絶。15歳未満に限定。家庭裁判所の審判が必要。
父母が婚姻中は共同して親権を行使。離婚後は一方が単独行使(離婚届に定めが必要)。
親権者が子との間で利益が相反する行為(例:子の財産を親が購入する等)をするには、家庭裁判所が選任した特別代理人が子を代理する(826条)。
| 相続人の組合せ | 配偶者 | その他 |
|---|---|---|
| 配偶者+子 | 1/2 | 子 1/2(子が複数なら等分) |
| 配偶者+直系尊属 | 2/3 | 直系尊属 1/3 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹 1/4 |
| 配偶者のみ | 全部 | — |
旧民法900条4号は非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1と定めていた。最大決平25.9.4(2013年)がこれを違憲と宣言。現行法では嫡出子・非嫡出子の相続分は同等。
子→孫→ひ孫と無限に再代襲(887条3項の準用)。相続開始前に子が死亡等した場合に孫以下が代わりに相続。
甥・姪まで1代限り(889条2項は887条3項を準用しない)。甥姪の子は代襲しない。
一定の非行をした者は当然に相続権を失う(欠格事由に該当した時点で自動的に失権。裁判所への申請不要)。
被相続人が推定相続人の相続権を剥奪させる制度。欠格と異なり、被相続人の意思表示+家庭裁判所の審判が必要。
①被相続人への虐待、②被相続人への重大な侮辱、③その他の著しい非行のいずれかがあること。
被相続人が生前に家庭裁判所に請求(892条)、または遺言による廃除(893条)も可能。遺言廃除の場合、遺言執行者が家庭裁判所に請求する。
| 選択肢 | 内容 | 手続き | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 単純承認 | プラス・マイナスすべて承継 | 熟慮期間経過で自動的に | 熟慮期間内に放棄・限定承認しなければ単純承認 |
| 相続放棄(938条) | 相続を全て放棄 | 各自単独で家庭裁判所に申述 | 最初から相続人でなかったとみなされる(939条) |
| 限定承認(923条) | プラスの範囲内で弁済 | 相続人全員共同で家庭裁判所に申述 | 1人でも反対すると不可 |
熟慮期間は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(915条)。
相続放棄した者は登記なくして第三者に対抗できる。相続放棄は絶対的効果(最初から相続人でなかったとみなされる)であり、登記制度の問題が生じないため。「放棄には登記が必要か」→ 不要。
| 方式 | 自書 | 証人 | 公証人 | 検認 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 全文必要(財産目録のみPC可・各頁署名押印要) | 不要 | 不要 | 必要 | 968条 |
| 公正証書遺言 | 不要(口授) | 2人以上 | 必要 | 不要 | 969条 |
| 秘密証書遺言 | 不要(ワープロ可) | 2人以上 | 必要 | 必要 | 970条 |
自筆証書遺言の本文は引き続き全文自書が必要。ただし2018年改正で財産目録のみパソコン等での作成が可能になった。この場合、財産目録の各ページに署名・押印が必要。「財産目録はワープロで作れるが、各ページの署名押印がなければ無効」。
遺言の自由は尊重されるが、一定の相続人には最低限の取り分(遺留分)が保障される。2018年改正で遺留分の権利の性質が根本から変わった。
旧法の「遺留分減殺請求権」は形成権(行使で物権変動が生じる)だった。2018年改正で金銭の支払を求める債権的請求権に変更。現物返還は求められない。
消滅時効(1048条):遺留分侵害を知った時から1年(一般時効の5年と混同注意)。相続開始の時から10年でも消滅。
被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合、終身(存続期間の定めがある場合はその期間)その建物を無償で使用収益する権利。遺産分割または遺贈によって取得できる。
配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合、遺産分割確定まで(最低6か月)無償で居住できる権利。登記不要・当然に発生する。
「長男の嫁が義父の介護をしたが相続人ではない」という不公平を解消するため新設。相続人以外の親族が被相続人の療養看護等により財産の維持・増加に特別の貢献をした場合、相続人に対して金銭の支払を請求できる。
寄与分(904条の2)は相続人が権利者で、遺産分割の中で調整される。特別の寄与(1050条)は相続人以外の親族が権利者で、相続人への金銭請求権。混同が頻出ミス。
改正前は、遺産分割が成立するまで預貯金は「遺産共有」状態にあり、相続人の1人が単独で払戻しを受けることはできなかった(最大決平28.12.19の判例変更)。2018年改正で当座の生活費・葬儀費等への対応を目的として新設。
法務局(遺言書保管所)が自筆証書遺言の原本を保管する制度(令和2年7月10日施行)。安全な保管と検認手続の簡略化を目的とする。
家庭裁判所での検認が不要。遺言者の死亡後、相続人等が「遺言書情報証明書」を取得できる。紛失・改ざんのリスクを防げる。
相続開始後に家庭裁判所での検認が必要(1004条)。検認なしに開封すると過料(1005条)。
事案を読み、自筆証書・公正証書・秘密証書・要件不備で無効のいずれかを判定する。
事案を読み、該当する遺言方式(または要件不備)を選ぶ。
寄与分 vs 特別の寄与、遺留分旧法 vs 現行法、相続放棄 vs 限定承認、代襲相続の範囲——似ているのに結論が違う4ペアで分かれ目を体得する。
「遺留分侵害額請求権は、侵害を知った時から3年で時効消滅する」→ 誤り。1048条前段は知った時から1年、後段は相続開始から10年。「3年」「5年」を紛れ込ませる数字トラップ。
「相続欠格が生じるには、被相続人の請求と家庭裁判所の審判が必要である」→ 誤り。それは廃除(892条・被相続人の意思+家裁の審判)の手続。欠格(891条)は欠格事由に該当した時点で当然に失権し、手続は不要。
「嫡出否認の訴えを提起できるのは父に限られる」→ 2024年4月1日施行の改正(令和4年法律第102号)により誤り。否認権者は父・母・子に拡大され(774条〜)、否認期間も原則3年に延長された。旧法(父のみ・1年)との時点依存の混同を突く。
「非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1である」→ 誤り。最大決平25.9.4が旧900条4号ただし書を違憲と判断し、現行法では嫡出子・非嫡出子の相続分は同等。改正前の古い数字を据え置く手口。
現行民法(2026-04-01現在)において、再婚禁止期間に関する記述として正しいものはどれか。
遺留分侵害額請求権の消滅時効(1048条前段)として正しいものはどれか。
相続放棄の効力を第三者に対抗するために登記が必要か。
遺言の方式に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
相続に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか(2026-04-01現在施行の法律による)。
再婚禁止期間は2024年廃止。相続欠格は自動失権(裁判不要)、廃除は被相続人の請求+家庭裁判所の審判。遺産分割前の預貯金払戻は法定相続分の1/3×預貯金額(上限150万円/金融機関)。自筆証書遺言を法務局に保管すると検認不要。遺留分侵害額請求は金銭債権(2018年改正・旧形成権)。配偶者居住権は2018年新設。
再婚禁止期間は現行法では〔 ? 〕。遺留分侵害額請求権は〔 ? 〕的請求権(旧法は形成権)。相続放棄は〔 ? 〕単独で申述できる。限定承認は相続人〔 ? 〕が共同申述。
相続放棄は〔 ? 〕単独で家庭裁判所に申述。限定承認は〔 ? 〕が共同申述。遺留分権利者に〔 ? 〕は含まれない。遺留分侵害額請求権は〔 ? 〕であり、現物返還は〔 ? 〕(2018年改正)。